2018年1月18日木曜日

オンライン上の資料で知る核兵器禁止条約

ICAN事務局長の来日で注目を浴びた核兵器禁止条約。
しかし、漠然と「核兵器そのものを禁止する条約である」という事は知られていても、
条約の詳細な内容や、各国の参加・不参加といった情報はあまり知られていないのでは無いでしょうか。

この記事では、オンライン上で参照可能な核兵器禁止条約資料をピックアップして紹介します。

まずは、国連核兵器禁止条約交渉会議公式サイトより。
https://www.un.org/disarmament/ptnw/index.html

条約の正文(英文)はこちら。
http://undocs.org/A/CONF.229/2017/8

採択の投票結果はこちら。
https://s3.amazonaws.com/unoda-web/wp-content/uploads/2017/07/A.Conf_.229.2017.L.3.Rev_.1.pdf

続いて国連軍縮局サイトより、核兵器禁止条約参加国の署名・批准状況。
http://disarmament.un.org/treaties/t/tpnw

核兵器禁止条約の全文和訳は、朝日新聞と毎日新聞のサイトで閲覧可能です。

朝日新聞の核兵器禁止条約全文和訳
https://www.asahi.com/articles/ASK9L56MHK9LPTIL00C.html

毎日新聞サイトにおける核兵器禁止条約全文和訳(共同通信提供)
https://mainichi.jp/articles/20170708/mog/00m/030/001000c

論考は、どちらかといえば肯定的なもの、懐疑的なもの1つずつ紹介します。

まずは肯定的なものから。
2017年8月、長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)が発行したポリシーペーパー
「核兵器禁止条約採択の意義と課題」です。
http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp/dspace/handle/10069/37700
全編、核兵器・軍縮に関する第一人者による執筆であり、非常に充実した内容となっています。
条約内容の解説のみならず、採択の背景や日本が入れるか否かも考察がなされています。

次に、懐疑的な論考を。
軍縮問題のエキスパートである拓殖大学佐藤丙午教授が現代ビジネスに寄稿した論考
核なき世界を望むなら、日本は核兵器禁止条約に参加してはいけない」です。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52629 
核保有国と非核保有国の断絶を指摘し、仮に現段階で日本が参加したら、といった思考実験により同条約の問題点を鋭く突く内容です。

この2つの論考に関しては、まずRECNAポリシーペーパーの第1章を条約全文和訳と照らし合わせて読み、大まかに核兵器禁止条約の内容をつかんだのち、双方の論考を読み進めて行くのが良いかと存じます。

核兵器禁止条約に関して、もう少し冷静な議論ができるようになると良いですね。

2017年9月13日水曜日

原発は弾道ミサイルの攻撃対象となりうるか? Twitterの集合知を活用して

Facebook上で気になる広告を見かけたので、Twitterの集合知を活用すべく、以下のような問いかけをしてみました。

まず、弾道ミサイルの特性上ピンポイントでの攻撃は不可能ですので、原子炉に直撃するというシナリオは除外します。また、核弾頭の場合はそのまま人口が密集する都市部に着弾させた方が明らかに高い被害が見込めるのでこれも除外します。周辺施設が破壊され電源喪失等に至る、つまりあの3月11日に福島第一原発で起きたような事態を弾道ミサイルで再現できるのか、またそれは軍事的に合理的な手法か問うてみたわけです。

頂いたご意見は以下のようなもの。

まず、「周辺施設であっても通常弾頭の弾道ミサイルによる破壊は困難」というご意見。
確かに原子力発電所の場合、原子炉建屋そのものだけでなく、その周辺施設も場合によっては地下に造られている等かなり堅牢なものです。これを通常弾頭の弾道ミサイルを用いて破壊するには、相当数のミサイルを使用しなければならないでしょう。

次に、「より効果的な手法が存在する」というご意見。これは「原発への攻撃を考慮するとゲリラ・コマンドによる攻撃の方が優先度が高い」というものと、「放射能汚染を意図するなら、ダーティーボムを用いれば良い」とのご意見を頂きました。弾道ミサイルによる周辺施設の破壊というまどろっこしい手法を取らずとも、もっとシンプルな手法が存在するわけです。

そして、「より優先的な目標が存在する」というご意見。朝鮮半島有事を考えると、北朝鮮側として第一に叩きたいのは三沢・横田・岩国・嘉手納等といった米航空戦力の拠点となりうる場所や、横須賀・佐世保等といった米海軍戦力の拠点となる場所でしょう。二義的には、指揮系統を混乱させるべく首都たる東京が目標となるのかもしれません。そして、弾道ミサイル防衛システムを突破するために、同じ目標に向けて複数飛ばさねばならない。日本列島を射程に収めるノドンの総数が200発、発射台数が50基程度と見積もられているそうですから、北朝鮮側としても結構カツカツですよね。こう考えると、原子力発電所の攻撃目標としての価値は相当下がります。

頂いたご意見を大まかに3つに分類してご紹介しましたが、これを見るにそもそも破壊が困難であるという観点、攻撃手法の観点、目標選定の観点、いずれの観点でも弾道ミサイルによる原子力発電所に対する攻撃は軍事的合理性を欠くものであり、想定し難いとの結論に至ります。

福島への風評被害は未だ収まっているとは言えませんし、特に8月末の日本列島上空を通過する形での「火星12」発射実験で国民の不安が高まっているこんなご時世。原発への弾道ミサイル攻撃を心配する方も当然いらっしゃるでしょう。そうした方々の不安払拭に向けて、政府やメディアは丁寧な説明を行う必要があるのでしょうね。

そして、多くの人々の理想である脱原発に向けた活動を行う際、弾道ミサイルの脅威を掲げるのは悪手であるとも言えるのでしょう。

Twitter上にてご意見を頂いた皆様方、この場をお借りして改めてお礼申し上げます。

(今回法的な議論は省くことにしました。仮定そのものが原子力発電所の保護を定めたジュネーヴ諸条約第一追加議定書第56条をはじめとする各種国際人道法に反するものである事は明らかだからです。)

メキシコ海軍練習帆船「クアウモテク」来日

チキンブリトー映画「バトルシップ」放送の余韻が冷めやらぬ中、メキシコ海軍の練習帆船「クアウモテク」が来日、晴海に停泊中とのことで見学してきました。

クアウモテク、とにかくシブいですね!
まずはホストシップの護衛艦「おおなみ」の見学といきましょう。

気合が入っています。 演習でも強い艦なのでしょうか?
3連装魚雷発射管を実際に使用する際の様子もよく分かります。
艦橋には防弾板が施されています。アデン湾での海賊対処任務に際し付けられたとか。
後部甲板へと行ってみます。ヘリが着艦する際の補助に用いられるベアトラップ。
ヘリ離着艦時の管制施設を見学できました。

内部はこのように計器が並んでいます。
では「クアウモテク」の見学へ。これがシンボルのようです。
厨房からはほんのりいい香りが漂ってきます。
 これが操舵設備でしょうか?

国を代表するだけあって、非常に大きな国旗が艦尾に掲げられています。
実は、当日の晴海にはもう1隻帆船が停泊していました。海王丸です。
というわけで、非常に貴重な経験になりました。

メキシコと日本の末永い友好を願って!

2017年9月9日土曜日

FPSと国際人道法 赤十字国際委員会の取り組み

赤十字国際委員会の日本版アカウントが、このようなツイートをしているのを見かけました。

どうも赤十字国際委員会が、リアル系FPSとして名高い(そして味方に迷惑をかける気しかしないので手を出せていない)ARMAと組んだらしい。
そして、
> なお、このキャンペーンは1つの目的として、プレイヤーに対する「罰」や強制された勉強的な内容でない、プレイヤー自身がゲーム上で取った行動の結果を通じて、国際人道法に対する理解を深めるという、ユニークな試みにも挑戦しています。

とある。興味深い試みです。

どうも、赤十字国際委員会はFPSに対してかなりの問題意識を抱いているようなのです。
以下のリンク先をご覧頂ければ、赤十字国際委員会の危機感をうかがえるかと存じます。

戦争のリアリティーを追求したゲームに関するQ&A
http://jp.icrc.org/2013/10/29/291013qa/ 

国際人道法というフィルターを通して見ると、確かにお行儀の良くない描写を含んだFPSも少なくないです。

例えばCoD4シングルのカレド・アル=アサド束縛ミッション。
アサドを捕らえた後、プライス大尉はアサドをボコボコに殴った挙句 (もう会いたくない…)、射殺してしまいますよね。

CoD4シングルのストーリー上当然の流れなのですが、プライス大尉のそれは捕虜の人道的待遇を定めた国際人道法上の観点では問題のある行為だと言うことができます。

CoD:MW2は空港で民間人を大量虐殺する場面から始まりますし、CoD:BOは拷問を受けている主人公の回想という形でストーリーが進みます。いずれも法的には問題を抱えた描写と言えます。

赤十字国際委員会が危機感を覚えるのもある意味当然のことなのかもしれません。
(意外にも、一見残虐に見えるCoD4のAC-130ミッションでは国際人道法をきちんと守っています。民間車両や礼拝施設たる教会といった法的に保護対象となるものは攻撃対象から外されているのです)

 そして、こうしたゲームそのものを禁止すべく動くのではなく、むしろゲーマーや制作企業を取り込んで国際人道法に対する意識を高めようとしている赤十字国際委員会の姿勢は、大いに評価されるべきでしょう。

ゲームの広報効果は、例えば米陸軍がAmerica'sArmy(https://www.americasarmy.com/) を製作したように、高いものと見ることができます。今回製作されたArma3のDLC「Laws of War」も、国際人道法への意識啓発に大いに役立ってくれるのではないでしょうか。

他タイトルにもなんらかの形で、こうした動きが波及するといいなと感じる次第です。
CoDやBFのシングルミッションなど、こうした要素を組み込める余地があると思います。

2017年8月31日木曜日

ベネズエラ大使館Twitterのご紹介、そして広尾でベネズエラ飯を食べる!

南米ベネズエラに関しては、昨今は暗いニュースばかりが流れてくるのが現状です。
暴徒化するデモ隊と治安部隊との衝突を撮影した映像をご覧になった方も多いかと存じます。

ベネズエラ市民の不満の背景には、原油価格下落に伴う外貨の不足によるインフレが存在するとの事。8月上旬にはウゴ・チャベスの後継者たるマドゥーロ大統領の独裁体制が確立したとの事です。

独裁確立 制憲議会発足 国会廃止決定へ
https://mainichi.jp/articles/20170805/dde/018/030/031000c 

このような情勢下で、駐日ベネズエラ大使館はTwitterを通じ、日本語にて積極的に情報を発信しています。
かの国の体制を肯定的に捉えるか、否定的に捉えるかに関わらず、関心をお持ちの方はフォローしてみてはいかがでしょうか?

https://twitter.com/VenezuelainJpn/

ベネズエラ政府の広報(否定的に捉えるならプロパガンダ)ツイートが目立ちますが、以下のようなツイートも。


「これは行ってみる価値があるんじゃないか?」

というわけで、食べに行きました。最寄りの広尾駅へと降り立ちます。

様々な国の大使館が集中するエリアですね。同時にお洒落エリアでもあり、俺の場違い感がすげえ。

お邪魔したのはこちら。レストラン「天現寺大使館」です。お目当のベネズエラランチセットの看板がありました。

お店備え付けのサラダバーで野菜をボリボリむさぼっていると、ベネズエラランチセットが到着しました。

胃腸が弱りがちな夏にぴったりの爽やかなランチプレートです。

主食のジャスミンライスは、粘りのない長粒種のお米を使用。香りが良く、食が進みます。

サラダはトマトとコーンサラダ、アボガドとエビのレモンオリーブサラダの2種類。
前者はクリーミーなドレッシングとトマトの味がよくマッチしており、後者はプリプリしたエビの食感とねっとりした食感のアボガドの組み合わせが非常に美味しかったです。

メインはチキンソテーのマンゴーソース。
(チキンにマンゴーとか、酢豚にパイナップル並みに合わないやろ…)と思っていたのですが大間違い。
ほんのりと甘いソースが、チキンの持つ旨味を最大限に引き出していたのです。これほど旨味が凝縮された鶏肉を頂くのは初めてではなかろうか…?

ランチプレートを楽しんだ後は、デザートの時間。
バナナのベネズエラ産チョコレートがけの登場です。
ベネズエラのチョコレートはほろ苦く濃厚な味わい。これがほどよく凍ったバナナのシャリシャリとした食感と合わさり、口の中でバナナの持つ自然な甘みを引き立ててくれます。これも本当に美味しかった!

というわけで、ベネズエラの食を通じ、かの国の文化をほんの少しですが感じてきました。

ベネズエラ情勢は予断を許しません。再度クーデターが起こる可能性もあるでしょうし、トランプ大統領の発言にあるよう、米国の軍事介入も否定はできない状況です。

豊かな文化を持つベネズエラに、また平和が戻りますよう。

2017年8月26日土曜日

J-PARC一般公開に行ってきました

8.20は大強度陽子加速器施設(J-PARC)一般公開に足を運びました。

東京から常磐線に揺られること3時間、東海駅で下車。
受付を日本原子力研究機構で済ませます。
受付が終わるとJ-PARCパスポートを頂きます
バスに揺られること5分ほど。J-PARC構内に入ります。構内の建物の撮影は禁止とのことでした。

研究棟3階で素粒子物理学が得意なフレンズ、 多田将先生の講演を拝聴しました。



紅茶とスコーンを頂きながら味わう優雅な講演。

アインシュタインによる特殊相対性理論と一般相対性理論の解説に始まり、タイムマシンは未来への片道切符のものであれば実現可能であること、「どこでもドア」は実は行き先がどこになるかわからない「どこへかなドア」となってしまうこと、宇宙戦艦ヤマトの推力は計算上40ジュールにしかならず、コスモクリーナーをイスカンダルへ取ってきて戻ってくる頃には既に地球は滅びているであろうこと… いやー、「物理学ってすっご〜い!」な講演でした。

講演の後はMR加速器を見に、地下25mへと潜ってみました。陽子を光速の97%まで加速するという施設の中央部とのこと。放射線の関係で、機器はもちろんのこと、壁に触れることすら禁じられていました。奥の方で、右側がハドロン実験施設、左側がニュートリノ実験施設へと分岐しています。









ハドロン実験施設がこちら。ビッグバン直後の物質の創生や重さの起源といった、壮大なテーマの研究がここでなされているとのことです。
 中性子実験施設も見てみましょう。水に反応しやすい中性子の性質を利用し、タンパク質の構造を解析する等といった研究が行われているとの解説でした。中性子爆弾で人間が殺傷可能なのは、こうした性質を有していたからなのか…とぼんやり考えつつ見ておりました。
こちらはニュートリノ実験施設前置検出器の様子です。ニュートリノ実験施設で発生させたニュートリノビームは一度ここで測定されたのち、295km先の観測施設「スーパーカミオカンデ」に打ち込まれ、観測されます。これをT2K実験と呼称し、昨今では物質と反物質の性質の違いである「CP対称性の破れ」を90%確認する大きな成果をあげたとのこと。
これを99.999...%まで高め、「CP対称性の破れ」を証明することがT2K実験の大きな目標であるそうです。

電磁ホーン試作機、カミオカンデの観測装置等。


数学を三角関数で投げ出し、理科系の科目は消去法で選んだド文系な私ですが、実は子供の頃は科学少年でした。童心に帰って、科学のロマンを存分に味わえた一般公開だったように思います。J-PARCの方々には、日々の研究に尽力し、世界に誇れる成果を出して頂ければと願うばかりです。
素粒子物理学が得意なフレンズ、多田将先生のこちらのインタビューもおすすめですよ。

宇宙の謎に迫る世界最先端の“すごい実験” ~究極の物の“中身”、素粒子を知る~ 素粒子物理学者・多田将 さん
http://toshin-sekai.com/interview/20/

2017年8月24日木曜日

蘭州拉麺店 火焔山にお邪魔しました

食レポです。今回は蘭州拉麺店 火焔山にお邪魔しました。

池袋西口、在日中国人が数多く集まり、歩いていると時折中国語が聞こえるエリア。そんな場所にこのお店はあります。

 店内は清潔で、気軽に入りやすい雰囲気のお店です。

メニューは以下の写真の通りです。




麺類だけでなく、和え物を中心にした中華料理も提供しています。拉麺を頂くだけでなく、一人飲みに行くにも良いかと思います。店内を見るに、集団で長居するお店というより、ふらっと入って、さっと食べて飲んで帰るのに適したお店かと存じます。

羊の串焼きと青島ビールがあるじゃないですか。これで早速一杯やりましょう。

スパイシーな味付けの羊の串焼きと、あっさりした味わいの青島ビールとの相性は抜群です。

舌鼓を打っていると、頼んでいた漢方入り蘭州ラーメンが運ばれてきました。
牛の出汁の効いた少し白みがかった透明なスープに、素麺とうどんの中間程の太さの麺の組み合わせです。薄切りの大根と牛肉が乗せられ、ネギとパクチーがかかっています。

あっさりとした味わいのスープにコシのある麺、そして漢方のコラボに、最高気温33度の真夏日にも関わらず食が進みます。美味い!

完飲。

大変良いお店でした。次に池袋に行く際も、また足を運んでみたいですね。
蘭州拉麺店 火焔山
東京都豊島区池袋2-47-7
https://tabelog.com/tokyo/A1305/A130501/13212134/